2017年 数学オリンピック 予選

恒例の数学オリンピックの国内予選が,成人式の日の1月9日に開催されました。成人式が15日だった頃も成人式の日に開催されていたと思います。ブログでいくつか気になった問題を取り上げてみます。4番の初等幾何です。比較的単純な図形なので有名問題か,そうでなければゴリゴリ解く問題かと思いきや,さほど有名では無い(多分…)上に綺麗に解ける問題のようです。

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平成28年度 都立高校 入試問題 理科 

巷で話題になっている出題ミスの件です。

 

平成28年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査問題(理科)に関する見解について

http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/28nyusen/mondai_r.html


すでに指摘されている、天体の大きさの縮尺が正しく無く、その影響で「イ」と「ウ」の両方の正解が考えられるとのことです。もっとも、「イ」が正解になるような作図方法には合理的な理由はないのですが、問題文の図がそうなっている以上は一応「イ」も正解として認めざるを得ないということでしょうか。ただそのことだけでも、東京都教育委員会の「(イを正解とする)設問としての内容については問題がないため、採点上の措置は行わない。」という処置は納得いかないのですが、この問題ではその続きで、次の内合と思われる日付と金星の公転周期まで書いてしまっているのです。そうすると、比較的簡単な計算で、少し訓練している(されている)小中学生であるならば、1分程度の暗算で「ウ」が正しいことが確認できてしまいます。

具体的には、問題文では金星の周期は0.62年と2桁で与えられていて、365x0.62をすると実際の255日とは少し(1日くらい)ずれるのですが、概算でする分には影響無いので、便利のために金星の公転周期を220日、地球の公転周期を360日として考えてみましょう。つまり角速度比は金:地=360 : 220=18 : 11で角速度の差は7となります。

 

「ウ」は3/24の時点で約90度ある差を、金星が地球に追いつくには単位時間を13回分(7x13=91)と考えると、地球は11x13=143で約143度進み、それは約143日後(地球の公転周期を近似的に360日にしているので、1日に1度進みます)です。


「イ」の3/24の時点で約120度ある差を、金星が地球に追いつくには単位時間を17回分(7x17=119)と考える、地球は11x17=187で約187度進み、それは約187日後です。

 

3/24から内合(金星が地球に追いつくこと)と思われる8/14まで143日なので、「ウ」が妥当となります。

暗算で答えが分かってしまうものに対して、その答が不正解扱いにされてしまうというのは、やや問題が大きいように感じます。このまま放置されてしまうのでしょうか。

 

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